審査員コメント
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AIにより映像クリエイターの仕事は減っていると巷では噂になっているが、私自身それは何の映像をクリエイトしているのかによって異なると思っている。私は映像クリエイターではないが、ある製品のショート動画などは写真を撮影しそれをAIで動画化するなどして縦型ショート動画は作っている。しかし、そうではなく、ドキュメンタリーというものは、登場してくれる人について詳しく知らなければならないし、密着取材を重ねてそこで見えるもの・感んじるものを残し、表現する、そして嘘はいけない、真実を撮る、この技術は撮影や編集スキルのみならず、人の話を聞く・聞き出す力も必要とされAIではまだできな領域だと思います。だから私も自社のドキュメンタリー映像やインタビュー動画は、それを得意とする人や制作実績のある方にしかお願いしないことにしています。おっしゃる通り、この手の動画を作成できる人は本当に少ない。海外のように、企業のドキュメンタリー番組や映画もない(企業の悪事を暴くような映画も日本にはない)このスクールが立ち上がり、残し、伝え続けていくべき真実や、日本の伝統工芸などもたくさん記録として残していただきたいなと思いました。
橋本 華恋(キャンプ女子株式会社 代表)
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生成AIの全盛期に、ドキュメンタリー映像スクールを社会実装している点がすばらしい。フィクションを得意とする生成AIがいま注目されているが、逆にノンフィクションを扱うクリエイターの重要性が相対的に高まっており、時代の潮流を捉えたプロジェクトだと言える。フィクションの延長線としてのフェイクがデジタル空間に氾濫している現代だからこそ、リアル空間で起きている人間や社会の営みに向き合うドキュメンタリー人材が求められている。
このプロジェクトが現在進行系である点も高く評価したい。卒業制作として完成させて終わるのではなく、そこを通過点としてプロジェクトを継続している点はとても重要だ。この「DIGITAL FRONTIER GRAND PRIX」は学びのゴールではなく、社会を変えるスタート地点であるべきだと思う。その点で、海外でドキュメンタリーを学んだ経験を踏まえて、日本のドキュメンタリー人材の不足という社会課題に真正面から取り組み、スクールのサービス設計を行い社会実装まで走り続けている点は評価したいし、何より応援したいと感じた。
「サービスデザイン」という言葉がある。顧客体験(CX)だけでなく、それを継続的に提供するための組織や仕組み全体を包括的に設計し、新たな価値を創出する行為全体を指す言葉だ。まさにこのプロジェクトは「継続的」である点がサービス部門にふさわしいといえる。継続的なサービスこそが、本質的で不可逆なイノベーションを引き起こせるからだ。このスクールの卒業生が増えていくことで、日本のドキュメンタリー文化がアップデートされて、よりよい社会の実現に繋がっていくことを期待したい。小塚 仁篤(株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ クリエイティブ・ディレクター/クリエイティブ・テクノロジスト)

















