デジタルハリウッド株式会社創立25周年
ファウンダー 杉山知之メッセージ
デジタルハリウッド株式会社は2019年10月3日に創立25周年を迎えました。ファウンダーの杉山知之から今までお世話になったすべての皆様へ感謝を込めて、設立への想いと未来へ向けてのメッセージをお届けいたします。
デジタルハリウッド設立25周年を迎えて
1993年、仲間と共に学校を設立しようと決めたときに最初に思い浮かんだ風景は、21世紀において、卒業生たちがネットを使って自分のプロジェクトチームと仕事をしている姿だった。プロジェクトごとに、様々なプロフェッショナルが離合集散するモデルはすでにハリウッド映画において確立されていた。我々の世代はそれをデジタルコミュニケーションで実現できる、という思いから、1994年に開校する専門スクール名と社名はデジタルハリウッドとなった。
設立当初から、学校とは言っても、教える場という気分ではなく、本学が用意したのは学ぶ場であり、創る場であるという運営だ。例えば、24時間PC教室を使え、制作に没頭できるようにするというのは現在まで続く伝統だ。
設立からしばらくの間は、小さいけれど質の良い学校が東京にある、というようなポジションで良いと思っていたのだが、入学してからあっという間にものすごいクリエイティビティを発揮する大勢の受講生たちを目の当たりにして、学校を増やすことを決意。八王子、大阪、福岡、横浜など直営校をオープンしていった。その思いは今、スタジオ形式の学校が全国に急速に広がることで繋がっている。今年度までのスタジオ数は23校、さらなる開校も予定されている。スタジオでは特に「主婦ママクラス」に人気が集まっている。働き方改革や副業も奨励されるようになり、本学が社会に役に立てるステージが来た、と感じている。
海外への進出も果敢にも挑戦し、1997年には米国サンタモニカ市にdhimaを設立。日本から留学した学生が、本場ハリウッドのVFXスタジオへ就職するという道も開いた。さらに、2000年には韓国・延世大学と共同で、ソウルの延世大学キャンパスにデジタルハリウッドを開校するなど、それらの海外進出から現在に繋がる多くの学びを得ることができた。
設立時の夢は、21世紀のどこかの時点で大学院を設立するということだった。その夢は、構造改革特区制度を利用し、思っていたよりずっと早い会社設立から10年で達成、2004年に専門職大学を開学した。平日夜と土日に講義を行う専門職大学院は、社会人が集まるデジタルハリウッドのスクールをプロデューサー向けにバージョンアップしたような、今まで培った知識で運営していった。その翌年には、会社として未知の領域の四年制大学を開学。大学開学より15年を経た現在、日本各地からだけでなく、海外からの留学生もぞくぞくと集まるダイバーシティのある大学と成長させることができた。
90年代後半から、専門スクール生たちに本当にデジタルを使いこなすのはみなさんのお子さんたちの世代だ、と言ってきた。そして今、そのお子さんたちがぞくぞくと大学に入学されるようになってきた。まさに25年とは、そのようなことを起こしてくれる時間なのだ。
近年、デジタルハリウッドは、それぞれの専門性を持つクリエーターが育つということに加え、アントレプレナーが育つ場所として認知されるようになった。大学発ベンチャー数では51社となり、全大学中、3年連続11位となり、これは大学の規模に比べれば、自分たちでも驚くような順位と会社設立数である。まさに株式会社立大学らしいアウトプットであると認識している。さらに、ICT技術を基軸に起業をしようとする社会人が主に集まるG’s Academyでは、設立４年で、大学の数字とは独立して、42社の起業、合計で約28億円の調達を実現している。
今や人類は、20世紀から持ち越されている様々な問題に加え、人々がネットでひとつに繋がった環境だから起きるハッキングや、急速に発展する人工知能とそれに操られるロボットへの対応、そこへ加えて温暖化による急激な気候変動など、人生100年時代へ向けて、若者たちが向かっていかなければならない新しい問題が山積している。
私は、若者たちに自分の人生を自分で創ることができる人になってもらいたいという強い思いがあり、デジタル表現の世界がその一助になると信じて、25年間学校を運営してきた。その思いは「みんなを生きるな。自分を生きよう。」というキャッチフレーズとなって結実した。
これからもその思いは変わらない。しかし、私達には幾重にも重なる壁が待ち受けていることも事実である。それらのたくさんの壁から逃げることなく正面から挑戦をする学校として、22世紀につながるデジタルハリウッドを思い描く日々が続いている。
2019年10月3日
デジタルハリウッド学長 杉山知之
