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日本経済新聞(東京)(新聞) / 迫真 働く異邦人

迫真 働く異邦人
日本経済新聞(東京)(新聞)

カンボジア人のハイ・ワンナーは08年、新聞配達の奨学生として来日した。ITを学ぶ一心だったが、現実は厳しかった。夜中の1時半に起き、明け方まで配達。留学先のデジタルハリウッド大に通っても「眠くて身が入らなかった」。祖国にない雪の日は特にこたえた。
頼りは生来の負けん気だった。知り合いの不動産会社で働き、日本の商慣行をみっちり学んだ。その後、日本人の友人とソフト開発を手掛けるVACSインターナショナルを設立した。
6月14日、東京・三田のオフィスビルにベトナム、タイ、マレーシアなどの留学生があふれた。味の素やエイチ・アイ・エスなど東南アジアの学生を採りたい企業を11社を集めた説明会。イベントを仕掛けたワンナーは昨年、東南アジアの若者の国際交流団体も立ち上げた。「中韓の学生に比べて日本企業への就職が難しい東南アジアの学生を助けたい」。逆境を知るからこそ手をさしのべる。