Press Release

<デジタルハリウッドアカデミー 最新事例>地方でIT人材を育成するためのルールとノウハウ~2022年度高知県Webデザイナー育成講座で見えた課題解決のヒントと実践事例~

デジタルコンテンツの人材養成スクール・大学・大学院を運営するデジタルハリウッド株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長兼CEO吉村毅、学長:杉山知之 以下、デジタルハリウッド)は、高知県から委託を受け『令和4年度Webデザイナー育成講座』を実施いたしました。

2022年7月9日に開講した当講座は2023年2月26日に最終成果発表会を実施し、3月31日に委託業務を終了しました。全20名の受講生中11名が内定、2名が企業と業務委託を結びました。(※2023年3月31日時点)
上記の結果は完璧とはいえないまでも、地域で眠らせがちな女性人材の掘り起こしとWebデザイナーとIT・Web人材が欲しい地元企業のニーズを満たすことに成功しました。
地方自治体において、喫緊の課題となることが多いIT人材の確保の問題に対して、高知県での取り組みをソリューションのヒントとして紹介していきます。

■地方におけるIT化の課題
たとえば地方におけるITに関わる課題は以下のようなものが挙げられます。

  1. デジタル格差
    都市部と比較してインターネットの接続速度やデジタル技術に関する情報のアクセスが限られる場合があり、これによって、地方の企業や住民がビジネスや日常生活でのデジタル技術を活用することが難しい。
  2. IT人材の確保
    地方には、都市部ほどIT人材が集まっていない場合が多く、人材不足は、地方企業がデジタル化やIT化に取り組む際の大きなハードルとなる。そのためIT人材の育成や誘致を行うことで、地域経済の発展を促進する必要がある。
  3. デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み
    地方の企業においては、まだまだアナログ的な業務プロセスが残っている場合があり、デジタル技術を活用した業務プロセスの見直しや、新しいビジネスモデルの構築が必要。
  4. セキュリティ対策の強化
    地方の企業や自治体においても、情報セキュリティ対策が重要となるが、地方においては、セキュリティ対策に関する知識や予算が限られている。

上述した4つの課題はおそらく地方自治体ではIT化を進めるうえで避けて通れない課題です。特に「2.IT人材の確保」については難易度が高くなりがちです。それは育成にかかるコスト(時間、金額)の問題もありますが、そもそも育成した人材が働くための環境が整っていない(IT・コンテンツ企業が少ない)ことが悪循環を引き起こしている可能性があります。
そのため地方でIT化を進めるためには、企業にとって即戦力なりうるIT人材を育成しながら、地域企業と連携すること、若者にとっても魅力的な企業を誘致していくことが大切となります。

■2022年度高知県Webデザイナー育成講座について
高知県における実施の背景は、今後の成長が期待され、若者の就職希望の多いIT関連産業やデジタルコンテンツ関連産業の集積に向けた取組が進められていました。高知県内の状況を見ると、県内企業において人材が求められていること、これまでに立地した企業の人材採用は今後も拡大が見込まれること、企業誘致において人材を確保できることが立地の重要な条件であること、他県同様に県内も人手不足で求職者数が減少傾向であることから、IT関連業界やデジタルコンテンツ関連業界に興味・関心のある人材を掘り起こし、業界において求められる実践的スキルを持った人材の育成を進めることが不可欠となっていました。
こういった背景から、高知県では県内女性を対象にWeb デザインやWeb マーケティングといったWeb に関する技術を複合的に習得できる講座をオンライン形式で実施できる企業に事業を委託しました。
 講座開講時のリリースはこちら(https://www.dhw.co.jp/press-release/20220513kochi_web/
デジタルハリウッドは、IT・Web即戦力人材を育成するために、動画教材と週1回のライブ配信授業を組み合わせたハイブリッド形式の講座を提供。
講座では、Web業界で広く使用されているAdobe Illustrator/Photoshop、Adobe XDといったソフトのスキルや、HTML/CSSやJavaScriptといったフロントエンドの知識やスキル、WordPress使用方法やWebマーケティング、Webライティング、Webポートフォリオの知識・技術を指導しました。
合わせて進捗確認と疑問点の解消を目的としたメンターとの週1回の面談(Zoomメンタリング)を実施しました。

■デジタルハリウッドのIT人材育成と出口支援の施策
受講生の就職という成果に繋がった要因としては下記の施策が挙げられます。

  1. メンタリング
  2. クライアントワーク
  3. 中間発表会などのイベントへの地元企業参加
  4. 県内企業との協力体制

1については孤独になりがちなオンライン学習において、就職や学習のことをいつでも相談できる場所の存在は受講生の学習中のモチベーション維持に大きく寄与しました。また、前年度の講座修了生をメンターに採用することで、学習中の悩みなども共有しやすい環境を構築しました。
4の施策について、今回委託企業である当社と開講場所は物理的な距離が大きく、現地の情報やニーズを拾いきることが難しかったため、現地企業との協力体制を築くことでその問題の解決を目指しました。協力体制にあった現地企業には2のクライアントワークでの実案件の提供(チラシ、LP、Webサイトなど)と、3に挙げたイベント等で採用のための企業ブース設置いただきました。これにより受講生にとっては顧客ヒアリング、企画提案、制作、修正、納品までの一連のフローを体験してより実践的な経験を積むことができ、企業側においては受講生のレベル感と人となりを事前に把握し、受講生採用への導線をスムーズにすることができました。

■卒業生作品と講座の様子

・能楽師 香川靖嗣氏 https://kagawa-seiji.moo.jp/

・和洋酒場  たむ家 https://kk-tamuya.com/index.html

≪講座の様子≫

(ライブ授業)
(イベント「名刺交換会」 チームで架空の専門学校の募集LPのワイヤーフレームを作成)
(最終成果発表会)

■2022年度高知県Webデザイナー育成講座実績
・応募人数:59名(講座定員は20名)
・講座期間中の内定者:11名
 ※内、県内企業にWebデザイナー/Web担当者としての就職は8名
・企業と業務委託契約(フリーランス):2名

≪講座中間アンケート結果≫ N=20, Max5.0

  • 講座運営全体の満足度:4.45
  • ライブ授業満足度:4.25
  • 動画教材の満足度:4.35
  • クライアントワーク満足度:4:00
  • メンタリング満足度:4.45

デジタルハリウッドは、IT・Web・クリエイティブ人材育成に20年以上取り組んできました。高知県の事例に関わらず、より成長が見込まれる産業界への人材育成と地域企業のIT人材獲得支援により一層取り組んで参ります。もし上記の案件などについて詳しい内容を聞きたい地方自治体の担当者様は、是非お気軽にお問い合わせください。
デジタルハリウッドアカデミー問い合わせフォーム:https://academy.dhw.co.jp/contact/

■デジタルハリウッドの教育ノウハウ
デジタルハリウッドは、eラーニング(動画)教材を50講座以上用意しています。各既存講座を毎年リニューアルし、新講座の開発を徹底しているため、常に最新の教材を提供することが可能です。
現役のプロクリエイター/エンジニア講師のノウハウが詰まった動画授業と専門スタッフによるサポート(教員研修、既存授業内容のeラーニング教材化、現役のプロクリエイター/エンジニア講師による特別授業等)を提供します。

■デジタルハリウッドアカデミー

https://academy.dhw.co.jp/
デジタルハリウッドでは、2005年のデジタルハリウッド大学開学当初より動画教材と対面授業を組み合わせる「ブレンディッド・ラーニング」による、教育の標準化と教育効果の向上を実現してきました。このノウハウを活かして、大学・専門学校・高等学校・中学校・小学校・塾・障害者支援サービス企業・教育サービス企業向けのオンライン授業の導入及び活用支援サービスが「デジタルハリウッドアカデミー」です。
 
新型コロナウイルスの脅威を経験して、教育のオンラインとリアルの最適な融合が問われています。
当サービスでは、例えば、デジタルクリエイティブ分野で実務経験が豊富な専門教員が不足している科目については、「プロクリエイター/エンジニアが教員を務める動画教材」を活用することで教育のクオリティと学生満足度を向上させます。同時に毎年繰り返し教育している基礎スキルについては、授業効率の向上も実現します。 これらの改善を通じて創出できた新たな時間を活用して、学生一人ひとりの目的・目標に合わせて、きめ細やかに対応するアダプティブ・ラーニングを推進します。
これらを行うために、具体的には、動画教材の提供および開発、カリキュラムリニューアル、教員向け研修、教員紹介、デジタルハリウッド教員派遣による出張授業・オンライン授業の実施、さらには学生募集サポートから就職サポートまで、幅広く支援しています。
<導入実績96校(2023年4月現在)>